私のアメリカンフットボール入門
平成21年12月27日
私のビデオコレクションの中に[エニイ・ギブン・サンデー(とある日曜)]というビデオテープがある。ホームセンターの通路の平台に並んでいるレンタル落ちのテープで、100円で買ったものだ。
[プラトーン]、[ウォール街]、[JFK]等の監督で知られる巨匠オリバー・ストーン監督が1999年に完成させたアメリカン・プロ・フットボールの世界を描いた大作である。
広大なフィールドのわずか1インチ(2.54Cm)を争う、骨がきしみ肉の振動が聞こえるような壮絶な戦いを主題にしている映画である。
この映画の内容は
[[4年前にはリーグ優勝をはたしたことのあるプロ・フットボール・チームのコーチ役[アル・パチーノ]は、敗戦続きの成績に苦悩している。父親から譲られたプロ・フットボール・チームのオーナー役を演じる[キャメロン・ディアス]の商売優先の考え方に閉口しながらも、チームの立て直しに躍起になっている矢先にベテラン選手が負傷でチームを離脱した。代役に起用した無名選手の予想外の活躍で、その後の試合は連戦連勝の進撃が続いた。
スタープレーヤーとしての人気に酔いしれていく新人クォーターバック。だがチームは身勝手な黒人クォーターバックが原因での内部崩壊の危機に直面していた。
「ゲームは人生そのものだ! ただ、勝てばいいというものではない! 男として、チームの一員としてプレーすることが大切なのだ。まわりを見てみろ!一緒に1インチを進むために必要な信頼できる仲間の顔がある。もしも俺にもまだ選手としての人生が残されているとしたら、たとえ1インチ先に死があっても、その場から逃げたりはしない!」
決勝進出を決める試合前のコーチの言葉で一丸となったチームは、大量得点を許している状況から奇跡的勝利に向かい、突き進んでいくのだった。]]
主演の人情味を隠し持つクールなコーチ役が[アル・パチーノ]で、オリバー・ストーン監督の熱烈招聘に対して、パチーノが快く承諾することにより実現した名作である。女性オーナー役の[キャメロン・ディアス]は、パチーノに一歩もひけをとらぬ演技(マッ裸の男がウジャウジャたむろする選手の控え室に、激励の為に彼女が入っていくシーンには度肝を抜かれた)で、この物語をより重厚なものした。
無名選手から、針の穴のようなチャンスをものして行く役を演じたのが、テレビ畑のコメディアン出身の[ジェイミー・フォックス]であった。彼は、ジャズピアニストであり歌手でもある[レイ・チャールズ]の伝記映画[レイ(2004)]で、盲目の天才音楽家レイ・チャールス役をあますことなく演じたことより、アフリカ系俳優では3番目のアカデミー賞主演男優賞に輝いた芸達者である。
知ったかぶりは悪い癖だが、アフリカ系俳優でアカデミー賞を手にした他の二人は、[シドニー・ポワチエ(野のユリ1963)]、[デンゼル・ワシントン(トレーニングデイ2001)]である。
女性オーナーの母親役に[アン・マーガレット(シンシナティ・キット1965年)]や、コミッショナー役の[チャールトン・へストン(ベン・ハー1959年)]、コーチ(アル・パチーノ)の参謀役にジム・ブラウン(100挺のライフル1969年)らの往年の名優たちが脇を固めている。
オリバー・ストーン監督は熱く語る。
「アメリカン・フットボールは儀式化された形式の闘争だ。日曜日の宗教儀式であると同時に、ローマ帝国の剣闘試合のバイオレンスなアメリカ版である。選手がフィールド上で野蛮人になれるところが魅力にひとつだ。選手がヒーローになれるのは、この野蛮きわなりない儀式を、肉体的、精神的に大きなダメージを負いながも切り抜けるからだ。この世界でも、過大評価されたスタープレーヤーがいて、その影に大多数の実力が評価されない選手がいる。スポットライトを浴びるのはスタープレーヤーだけで、人々はチームという観念を忘れている。しかし、フィールド上で戦った男たち総てが偉大であり、それは勝者となった[チーム]というものの存在の中に含まれる偉大さでしない。個人個人は現れては消えていく存在だ。偉大なチームは偉大な映画と同じで、分部より全体が素晴らしいのだ。」
以上の記事は[冴]さんという方が主宰する映画解説サイトからの受け売りである。私は、プロ・フットボールの世界など全然知らない。この[エニイ・ギブン・サンデー]を何度鑑賞しても、オリバー・ストーンの云わんとしていることが伝わってこないのだ。そこで、[アメリカンフットボール]についての知識を大急ぎで詰め込んでから、もう一度観てみようと思った。
[アメリカンフットボール]は11人ずつの2チームが、楕円形ボールを互いに相手陣営の[エンドゾーン]に向けて前進させて得点を競うスポーツである。
[2チーム]は[オフェンス(攻撃側)]と[ディフェンス(守備側)]に分かれ、攻守を交代しながら進行し、得点する機会は攻撃側だけにある。
総てが[セットプレー]で、両チームむかい合った静止状態から一つの[プレー]が始まり、[タックル]などによりボールの前進が止まったとき当該[プレー]は終わる。[1プレー]は超短時間で終わり、また次の[プレー]を開始し、それらの積み重ねでゲームは進行する。
[フィールド]内で試合をする11人の選手は、自由交代制で一度交代した選手がまた戻ることができる。
選手は[ポジション]ごとに明確な役割分担が敷かれ、それぞれの[ポジション]に応じたパワー、スピード、スタミナ、捕球力などが要求される。
各[プレー]の結果により、試合時間がそのまま進行する分部と、停止する分部とが明確にされていて、時計との勝負と云われるスポーツである。
[フィールド]
[アメリカンフットボール]は、120ヤード(107.73m)の[サイドライン]と、53ヤード(48.78m)の[エンドライン]を持つ[フィールド]内で戦われる。
両端の[エンドライン]内側10ヤード(9.14m)のところに[エンドライン]と平行して[ゴールライン]が引かれ、この10ヤード×53ヤードの帯状の分部を[エンドゾーン]と呼ぶ。
両端[ゴールライン]の真ん中50ヤード(45.72m)に引かれた線を[ハーフウェーライン]と呼び、このラインが2つの陣地の境界線となる。
[フィールド]両端の[エンドライン]上中心に[ゴールポスト(高さ3m×幅5.6m)]が設置されている。
[試合時間]
試合時間60分を前後30分の分け、それを、さらに15分ずつの節[クォータ]に分け4分割し、第一クォータ、第二クォータ、第三・・・、第四・・・と呼ぶ。実質的な試合の間は時計が進められ、それ以外は時計が停止される。さらに、前半と後半の間に15分程度の[ハーフタイム(休憩)]などもあり、試合開始から終了するまで3時間以上になる場合が多い。
[チームの人数]
[フィールド]上に上るのは11人であるが、[プレー]と[プレー]の間であれば何人でも交代でき、一度退いた選手でも再度[フィールド]上に戻ることができる。NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)ルールでは、[フィールド]上と控え選手あわせて1チーム53人まで登録できる。
[審判の人数]
審判の人数は、[レフリー]、[アンパイア]、[ヘッド・ラインズマン]、[ライン・ジャッジ]、[バック・ジャッジ]、[フィールド・ジャッジ]、[サイド・ジャッジ]の7人で、各ポジションにより呼び名が変わるが、反則の指摘等の権限は平等に持っている。
[コンタクト(タックルとブロック)]
[アメリカンフットボール]での[コンタクト]とは、[オフェンス(攻撃側)]と[ディフェンス(守備側)]との接触をいう。この[コンタクト]は互いの身体に強烈な力が加わり、即負傷につながるので、厳しい規制が設けられている。
[コンタクト]は、ボールを持っている相手チーム選手(ランナー)の前進を阻むために、身体やジャージを掴んだりする[タックル]と、相手チームの身体やジャージを掴むことなく自らの身体を使って相手チームの進路を妨害する[ブロック]に大別される。
原則的に、ボールを持っていない選手の身体やジャージを掴む[タックル]には[ホールデング(反則)]が科せられるが、守備側が[ランナー]に[タックル]をするために他の選手を払いのけるために掴むことは例外となる。
[装具]
[アメリカンフットボール]の[装具]とは、選手の[ヘルメット]や身体各部の負傷軽減を目的とする[プロテクター]と、チーム識別のための[ユニフォーム]に大別される。
装着が義務付けられている装具は以下の通りである。
①[ヘルメット]は頭部を保護するもので、表面はプラスチック製、内側はウレタン性パッドとゴムチュ―ブ(口で空気を送り込むことにより、己の頭蓋骨にフィット感を調整できる)が内蔵されている。ヘルメットは顔面を保護する[フェスマスク]と、顎にあててヘルメット固定する[チンストラップ]があることが必須である。この[ヘルメット]は、1㎡当たり1tonの衝撃に耐える。
②[ショルダーパッド(プロテクター)]胸と背中と肩を保護するもので、各部を保護する[パッド]を[プラスチックカバー]で覆い繫ぎ合せたもので、それぞれのポジションにより異なる形状を持つ。
③[ニーパッド]は膝を保護する。[サイパッド]は大腿前部を保護する。[ヒップパッド]はおしりを保護する。これらは、ユニフォームのパンツ(ズボン)の下に装着される。
④[マウスピース]は頸部への衝撃を緩和するもので、[スナップ]する直前に装着する。過去における未装着時代の事故には頚椎損傷による死亡等の重大なものがあり、現在でもその規定が年々厳しくなる傾向にある。
⑤[ユニフォーム]は自分がどのチームに所属しているかの看板である。自チームの持つスタジアムでの試合に着用する場合のチームカラーを重視した物を着用する。一方、他のチームの[ホームスタジアム]への乗り込んでの遠征時は、白を基調とした色(ビジター用)が原則である。これは伸縮自在の素材を用い、様々な防具の上から羽織る。
[セレモニー(コインスト)]
[セレモニー]とは、試合開始直前に両チームのキャプテンと審判がフィールド中央に集まり、試合上の注意を受けたあとの[コインスト]をおこなうこと。
[コインスト]とは、試合開始前にボールと陣地の所有権を決めるもので、[ジビター(遠征チーム)]側がコインの裏表を選択したあとに審判がコインを投げる。
[コインスト]の勝者は、[どちらかの陣地を選択か]か、[どちらのチームがキックするか、又はレシーブするか]かの、どちらかを選択できる。[コインスト]の敗者は、この勝者が選択しなった選択権を行使できる。つまり、[コインスト]の勝者が、先に攻撃権を得るために「自チームがレシーブする」ことを選択すると、相手チームは自動的に[キック]する側となり、さらに自チームの陣地をどちらにするかを選択できることになる。
[レディー・フォー・プレー]
[レディー・フォー・プレー]とは、審判が[プレー]の開始を宣言すること。宣言前には各チーム共にプレーを始めてはいけない。また、この宣言がなされてから25秒以内にプレーを開始しなければならない。
[スクリメージ・プレー(ボールの前進)]
[スクリメージ・プレー]とは、攻撃側が[フィールド]内の相手側[エンドゾーン]に向けてボールを前進させるために行う個々の[プレー]を総称して云う。ボールが設置され、攻守の間に[スクリメージライン]が存在する状態からのプレーを指す。
[スクリメージライン]とは、各[ダウン(4回の攻撃権の1つ1つ)]の攻撃開始地点を示す仮想の線で、セットされたボールの先端を通り、[エンドライン]と平行に[フィールド]を横切る線を云う。
[プレー]は、攻撃側の[スナップ(地面に置かれたボールを、後方の味方選手に渡すこと)]により開始する。この[スナップ]時には、両チームの選手は[スクリメージライン]よりそれぞれ自陣側に位置しなければならず、そのラインを中心に攻守の選手が向かい合う形となる。なお、攻撃側の[スナップ]時には少なくとも1秒間静止しなければならない。
ボールを前進させる方法は[ランプレー]と[パスプレー]とがあるが、それぞれの[プレー]は[アサインメント(事前に決められた動き方)]に従った行動となる。このあらかじめ決められた戦術書を[プレーブック]と呼ぶ。
[スクリメージ・プレー]の前に両チーム選手はそれぞれに集合し、[ハドル(次のプレーの戦術確認)]をする。[ハドル]の多くの場合は、[チームリーダー(通常はクォーターバックの役目)]が状況判断し、他の選手に次の作戦を伝える。
[ダウン]と[シリーズ]
攻撃側のチームには、当初4回のプレーを行う[ダウン(権利)]が与えられる。順に[ファーストダウン]、[セカンドダウン]、[サードダウン]、[フォースダウン]というが、この4回のダウンの間にボールを10ヤード(9.14m)以上進めると、[ファーストダウンの更新(あらためて4回の攻撃権を獲得する)]となる。もし10ヤード進めることができない場合は、攻撃権は相手チームに移り、前回のプレーの最後にボールのあった地点から相手チームの[ファーストダウン]が開始される。
この攻撃開始から、攻守交代までの一連のプレーを[シリーズまたはドライブ]と呼ぶ。
[ランプレー]
[ランプレー]とは、[ハンドオフ(手渡し)]または[バックパス(後方へボールを投げる)]でボールを受けた選手が走って前進をする[プレー]で、比較的短い距離を確実に前進するために行う。
この場合の[ランナー]になるのは[ランニングバック]であるが、適当なパスの受け手が見つからない場合に[クォーターバック]が自分でボールを抱えて[ランプレー]により前進する場合がある。これを特に[スクランブル]と呼ぶ。
[ランナー]はあらかじめ決められたコース上を走るのが一般的で、[ランナー]以外の攻撃側の選手は、[ランナー]の走路確保のために、[ランナー]に[タックル]する守備側の選手を[ブロック]する。[ランナー]は、試合の流れの中で自分の判断で走るコースを任意に変更することもできる。
[ランプレー]の[獲得距離表示]は、プレーが終了した時点で、[スクリメージライン]よりボールが最も前進した地点までの距離を現し、そこから守備側に押し戻された距離はマイナスされない。ボールが最も前進した地点から、次のプレーが再開される。
[ランプレー]中に[ファンブル(ボールを落とす)]すると、落ちたボールは守備側と攻撃側の総ての選手が[リカバー(確保)]して前進することができる。攻撃側が[リカバー]した場合は攻撃シリーズが継続され、守備側が[リカバー]した場合には[ターンオーバ(攻守交代)]する。
[ランプレーによるタッチダウン]は、[ランナー]が抱えたボールが[ゴールライン]を通過した瞬間に成立する。
[パスプレー]
[パスプレー]とは前方(相手チームのエンドゾーン方向)へパスを使ったプレーの総称である。この[パスプレー]は1プレーにつき1回だけ認められる。
[パスプレー]は、空中を凄まじい回転により1直線に進むボールを、攻撃側の選手がノーバウンドで捕球したときに成立する。キャッチしたボールの位置がフィ-ルド外にあっても、捕球した選手の片足がフィールド内に着地すればパスは成立し、相手チームの[エンドゾーン]内で補給すれば[タッチダウン]となる。
大気を回転力で切り裂いて進むボールを補給した選手が、そのボールを抱え込みさらに前進することを[ラン・アフター・キャッチ]と呼び、[パスプレー]による獲得距離はプレーが終了した地点で、[スクリメージライン]からパスを捕球してから前進獲得した距離が記録される。
空中を突き進むボールを攻撃側の選手がキャッチに失敗して地面に落とした場合は、[パスインコンプリート]となりプレーが終了し、時計は止まる。この場合には攻撃側は前進されず、[パスプレー]前の元の[スクリメージライン]から次の[ダウン]となる。
[センター]が[クォーターバック]への[スナップ]後、通常2人の[ワイルドレシーバー]は様々なプレーにより定められたコースを走る。[クォーターバック]は1歩後退して守備側の状況をおしはかり、捕球確立の高い方の[ワイルドレシーバー]に向けてパスを投じる。
[クォーターバック]の適切なスピードと適切な距離と適切なタイミングでのパスが[ワイルドレシーバー]の類稀なる捕球技量とによりパスプレーは成功するが、成功の確率は低い。攻撃側の周囲の選手は、[クォーターバック]が正確なパスを投じるまでの時間を稼ぐためと、[クォーターバック]が侵入した守備側のタックルを受けないようにするための[ブロック(防御)]にあたる。特にオフェンスラインの選手はパスを受けることができず、また[クォーターバック]のパスする手からボールが離れるまでは[スクリメージライン]を超えることができないので、[クォーターバック]を護るのに専念することになる。
パスされたボールが守備側の選手の手に捕球されることを[インターセプト]と呼び、この瞬間から[ターンオーバー(攻守交代)]となる。捕球した選手は相手側の[エンドゾーン]に向け[リターン(前進)]することができ、[ボールデット]後に[リターン]したチームが[ファーストダウン]獲得する。当然のこととして、[リターン]した選手が[ボールデット]前に敵陣の[エンドゾーン]に駆け込めば[タッチダウン(リターン・タッチダウン)]が認められる。
[ボールデッド(プレーの終了)]
以下の場合は[ボールデッド(プレーの終了)]となる。
*ボールを持った選手が倒れた場合。厳密には足の裏および手のひら以外が地面に触れたとき。
*ボールを持った選手が相手チームに取り囲まれ、それ以上前進できないと審判が判断したとき。
*ボールを持った選手がサイドラインの外に出た[アウト・オブ・バウンズ]とき。
*[パスインコンプリート(パスの不成功)]。
[タッチバック]
[タッチバック]とは、パスの不成功の時と得点の時を除き、ボールが守備側ゴールラインを超えて[ボールデット]となることで、[タッチバック]が成立すると守備側の20ヤードラインから守備側の[ファーストダウン]が獲得される。
[タッチバック]には次の場合が当てはまる。
*[パント(攻撃側のボールを地面に設置させないで蹴ること)]または[フリーキック]のボールが、レシーブ側の選手に触れずにゴールラインを超える。
*捕球した選手がエンドゾーンでタックルを受ける。
*[ニーダウン(ボールを持った選手が意図的に膝を付き、ボールデットすること)]する。
*ゴールライン後方で[アウト・オブ・バウンズ]となる。
*攻撃側が[ファンブル]した」ボールが、守備側が触れることなく守備側のゴールを超え
て、守備側の選手が[リカバー]して[ボールデッド]となる。または[アウト・オブ・バウンズ]となる。
*[インターセプト]したプレーヤーが、守備側の[ボールライン]手前で[ボールデッド]となる。
[パント]
[パント]とは、攻撃側がボールを地面に接地させないでボールを蹴ることで、攻撃権を失う代わりにボールを大きく前進させることができる。[フォースダウン]で、ゴールまでの距離が遠い場合には、相手の攻撃をできるだけ不利な位置(自陣エンドゾーンから離れたところ)から開始させるために、通常は[パント]する。
[パント]する場合、[スクリメージライン]上に[ロングスナッパー]と呼ばれる選手を、また、後方約14ヤードに[パンター]と呼ばれる選手が配置される。[パンター]を守るために数ヤード前に選手の一人を配置し、残された他の選手は[ロングスナッパー]を挟んで[スクリメージライン]上に1列にセットする。
[ロングスナッパー]が[パンター]にボールをスナップすることでプレーは開始され、ボールを受けた[パンター]は軽く助走しながら前方にボールを離し、地面に落ちる前に高く蹴り上げる。
蹴られて空中に舞い上がるボールをレシーブ側の選手が受けた場合、その選手はボールを持って[リターン(前進)]することができ、リターン終了地点で[ファーストダウン]を獲得する。当然のことに、リターンの結果に相手チームのエンドゾーンに達すればタッチダウン(パントリターン・タッチダウン)となる。
パントのボールにレシーブ側が触れなかった場合はボールが止まった地点か、[アウト・オブ・バウンズ]地点でレシーブ側の[ファーストダウン]が獲得される。また、パント側チームの選手がボールに触れた場合は、触れた地点でレシーブ側の[ファーストダウン]が獲得される。
[パンター]以外のパンター側選手は、パントに必要な時間を確保するためにレシーブ側選手の侵入を防ぎ、パント後はレシーブ側のタックルに向う。
[リターン]の距離を少しでも短く抑えるには、できるだけ早くレシーブ側の選手に近づかなくてはならない。そのためには、パントは遠くにまで飛ばすだけではなく、できるだけ滞空時間(ハングタイム)を伸ばすために高く蹴り上げる必要がある。
[4th(フォース)ダウン・ギャンブル]
[4thダウン・ギャンブル]とは、4thダウンで[パント]や[フィールドゴール]しないで、[ランプレー]か[パスプレー]で次の[ファーストダウン]の獲得を目指すギャンブル性の高いプレーを云う。
[4thダウン・ギャンブル]の結果にファーストダウンを獲得すれば攻撃権を継続できるが、失敗した場合はボールデット地点で相手側のファーストダウンを獲得すためリスクは高い。
[4thダウン・ギャンブル]を選択する状況は、ファーストダウンまでの獲得距離が残り少なく、フィールドゴールの得点やパントでは満足できない場合である。通常は、敵陣に入ってから[4thダウン・ギャンブル]を選択する。
[ダウン&ディスタンス]と[チェーン]
攻撃側の状況は[ダウン&ディスタンス(ダウン数とファーストダウン獲得に必要な前進距離)]で表す。つまり、ファーストダウンを獲得した時点では[1st&10(ファーストダウン・テン)]と表示され、「現在ファーストダウンで、次のファーストダウン獲得までの残り距離は10ヤード」という意味となる。
[2nd&5(セカンドダウン・ファイブ)]は「セカンドダウンで残り5ヤード」となり、[3rd&3(サードダウン・スリー)]は「サードダウンで残り3ヤード」ということになる。
[攻守交替]
以下の場合に攻守交替になる。
*[ターンオーバー(ファーストダウンに失敗したとき)]。これは、フォースダウンが終わった段階で10ヤード前進ができなかったか、シリーズ中に[ファンブル・インターセフト]が発生し、守備側がボールを確保してプレーを終了したとき。
*[フィールドゴール]に失敗したとき。
*[パント]をして、レシーブ側がボールを確保したとき。
*[タッチダウン]の後の[ポイントアフタータッチダウン]のプレーが終了したときと、フィールドゴールで得点したときの次のプレーは、得点したチームのフリーキックとなるために事実上は攻守交替となる。
[得点の方法]
[タッチダウン(敵陣エンドゾーンまでボールを運ぶこと)]の得点は6点。
(イ)自軍の選手がボールを持って敵陣のエンドゾーンに入る。
(ロ)敵陣エンドゾーン内で味方からのパスを捕球する。
*タッチダウン後には[ポイントアフタータッチダウン]という攻撃権が与えられる。
[フィールドゴール]の得点は3点。
*スナップ後のボールを地面に置きキックし、敵陣ゴールポストの間のクロスバー上方を通すこと。
*スナップ直後にボールを前方に落とし、地面に付いた後にキック(ドロップキック)して敵陣ゴールポスト間を通す。
*[フィールドゴール]を狙うプレーには、[スクリメージライン]上に[ロングスナッパー]と呼ぶ選手を配し、後方7ヤードに[ホルダー]と呼ばれる選手、さらにその後方うに[キッカー]を配し、その他の選手は[ロングスナッパー]を挟んで[スクリメージライン]上に一列にセットする。
*プレーは[ロングスナッパー]が[ホルダー]にボールをスナップすることで開始され、ホルダーは受けたボールを素早く蹴りやすいようにボールを立てて支える。スナップと同時に助走をはじめた[キッカー]は敵陣ゴールポストめがけて思い切り蹴り上げ、ゴールポストを通過すれば3点が加算される。
*他の選手は[スクリメージライン]付近でブロックし[ホルダー]や[キッカー]を保護し、キックまでの時間を稼ぐ。プロは、40ヤード以内の[フィールドゴール]はほとんど成功するようだ。[フィールドゴール]が失敗に終わった場合には、相手側の攻撃にかわる。
[トライ]とは、[タッチダウン]の後に、敵陣ゴール前2ヤード地点から1回だけの攻撃権が与えられ、その結果[タッチダウン]なら2点、[フィールドゴール]と[セイフティ]は1点か加算される。
[セイフティ]は守備側に得点(2点)が入る特殊ケースで、攻撃側が自陣ゴールラインの後方で[ボールデッド]となる。次の場合が[セイフティ]に当てはまる。なお、[セイフティ]後は得点を与えた側による自陣20ヤード地点からのフリーキックとなるために、攻撃権も相手側に移ることになる。
*ボールを持つ攻撃側選手が、自陣エンドゾーン内で守備側のタックル等で倒れる。
*ボールを持つ攻撃側選手が、自陣のゴールライン後方から[アウト・オブ・バウンズ]に出る。
*攻撃側が[ファンブル]したボールが、自陣ゴールライン後方から[アウト・オブ・バウンズ]に出る。スナップを取り損なってエンドラインを割ってしまった場合や、パントがブロックされてボールがエンドラインを越えて転がって行った場合などを云う。
*攻撃側が、自陣エンドゾーン内でホールディング等の特定のファウルを犯す。
*[インテンショナル・セィフティ] ボールを持った攻撃側選手がエンドゾーン内で意図的に膝をついたり倒れたりする。
[フリーキック(キックオフ)]
[フリーキック]とは、前半後半のそれぞれの開始時と得点後の試合開始時行われるプレーをいう。キック側の選手は、自陣30ヤード上の地点から[キッキングティー(プラスチック製のボール立て)]のボールを蹴る。
キック側選手はボールが蹴られるまではボール後方にいなければならない。
レシーブ側選手はボールが蹴られるまでは、蹴る前のボールの位置から10ヤード以上自陣側にいなかればならない。
ボールを敵陣に向けて蹴ることによりプレーは開始され、蹴られたボールはレシーブ側選手に捕球(レシーブ)されて、ボールを持ったままキック側陣(敵陣)に向けて走る(キックオフ・リターン)。タックル等のためにリターンが終了した時点でキックオフのプレーも終了する。勿論、レシーブ選手が敵のブロックを巧みに突破し、ボールを持ったまま敵陣エンドゾーンに到達すればタッチダウン[キックオフ・リターン・タッチダウン]となる。
キック側の選手は、レシーブ選手が10ヤード前進するまではボールに触れてはならず、相手選手を[ブロック]してはならない。以上のような制約があるので、通常はレシーブ側のチームの攻撃となるプレーである。
[攻撃側の反則]
*[オフサイド]ボールがスナップされる前に、攻撃側選手がニュートラルゾーンに侵入すること(5ヤード罰退)。
*[フォルス・スタート]センターがスナップする前に、攻撃側選手が攻撃開始と同じように動くこと(5ヤード罰退)。
*[イリーガル・モーション] センターがスナップする前にバックスが2人以上動くこと。またはモーションする以前に前方に動くこと(5ヤード罰退)。
*[イリーガル・シフト]スクリメージメンがシフト後1秒以上静止しないこと(5ヤード罰退)。
*[イリーガル・フォーメーション] スクリメージラインに6人以下の選手しかいないこと(5ヤード罰退)。
*[無資格レシーバーによるダウンフィールドへの侵入]パスプレー時、エンド以外のラインメンがスクリメージラインより3ヤード以上前にでること(5ヤード罰退、さらにラインメンがパスにタッチした場合は、15ヤード罰退)
*[不正なフォワードパス] スクリメージラインよりより前から投げられた前方へのパス、または一回のプレーイで二度目の前方へのパス、パントやフリーキックのリターン側による前方へのパス(5ヤード罰退)。
*[ホールデン]ブロックの際に不正に手や腕を使って相手側をブロックすること(10ヤード罰退)。
*[パス・インターフェアランス]ボールではなく、パスを捕ろうとする選手に対して妨害すること(15ヤード罰退)。
*[インテンショナル・グランディング]サックを避けるために、故意に誰も捕れないボールを投げること(5ヤード、またはパスを投げた地点まで罰退)。
*[クリッピング(腰から下を背後からブロック)、イリーガル・ブロック(背後からのブロック)、スピアリング(故意にヘルメットなどで体当たりする等の危険な行為)]不正なブロック(15ヤード罰退)。
*[キックオフのアウト・オブ・バウンズ]キックオフされたボールがプレーヤーに触れられることなくサイドラインを割ること(キックオフ地点から30ヤード進んだ地点でのレシーブ側のファーストダウン)。
[守備側の反則]
*[オフサイド]ボールをスナップする前に攻撃側選手に触れたり、ボールがスナップされた時点でニュートラルゾーンに侵入すること(5ヤード罰退)。
*[ランニング・イントゥ・ザ・キッカー]パントを蹴り終えた直後のキッカーに接触すること(5ヤード罰退)。
*[パス・インターフィアランス]ボールが投げられた後、ボールでなくパスを捕ろうとする選手に接触する(反則のあった地点からファーストダウン)。
*[イリーガル・コンタクト]スクリメージ・ラインから5ヤード以上越えた地点でレシーバーに接触すること(5ヤード罰退)。
*[ホールディング]ボールを待った選手以外を掴むこと。リシーバーがコース上を走れないように掴んだ場合など(5ヤード罰退とファストダウン)。
*[パイリング・オン]ボールデットになった後に、攻撃側選手の上にどのような状態であろうと乗っかること(15ヤード罰退)。
*[ラフィング・ザ・キッカー]キックの後でキッカーにタックルすること(15ヤード罰退)。
*[ラフィング・ザ・パッサー]パスプレーにおいて、パスを投げた後の選手(必ずしもクォーターバックとは限らない)にタックルすること。合法的なタイミングであっても、必要以上の乱暴行為(ヘルメットにヘルメットで当たる。抱え込んで投げる等)があった場合(15ヤード罰退)。
[攻撃側と守備側の双方に適用される反則]
*[ディレイ・オブ・ゲーム]時計開始から15秒以内にスナップを行わないこと。守備側においては大声を出してスナップカウントを邪魔したり、時計が進んでいるのにボールを抱え込む等の著しい遅延行為をする(5ヤード罰退)。
*[不正なプレー参加(交替違反)]1チーム12人以上の選手がフィールド上にいること(15ヤード罰退)。
*[グラスピング・ザ・フェイスマスク] フェイスマスク(ヘルメットの網の部分)を掴むこと(15ヤード罰退)。
*[アンネセサリー・ラフネス]明らかにサイドライン外に出た選手にタックルする等の、必要以上に乱暴なプレー(15ヤード罰退)。
*[アンスポーツマンライク・ラフネス]相手選手や審判に対しての暴言を吐く等の非紳士的行為(15ヤード罰退)。
以上の説明では、アメリカンフットボールのルールの何パーセントも言い尽くせないが、様々なルールを書けば書くほど頭の中が混乱してくる。これらの知識の総てを会得するのには、自分自身が防具をまとってフィールド上に駆けあがる以外にはないのかもしれない。
鼻血や脳震盪にはじまり、頭蓋骨陥没、大腿部複雑骨折、頚椎及び脊髄損傷などを、一通り経験すれば、きっと、アメリカンフットボールは完全に私のものになるだろう。
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